人工妊娠中絶と母体保護法
人工妊娠中絶は、「母体保護法」に基づいて適切に実施される必要があります。本法の第14条に該当する場合のみ、中絶が認められます。また、この処置は母体保護法指定医師のみが行うことができます。
なお、診察当日に手術や経口中絶薬の処方・服用を開始することはできません。事前に術前検査を受けた上で、指定医師からの説明を受け、手術または中絶薬の服用日を決定します。経口中絶薬は、医師の面前で服用します。同意書は自宅へ持ち帰り、当日署名したものを必ず持参してください。
配偶者の同意について
人工妊娠中絶を行うには、本人および配偶者(法律上の婚姻関係にある場合)の同意が必要です。未婚の場合は配偶者の同意は不要です。また、DVなどにより事実上婚姻関係が破綻している場合も、配偶者の署名は不要とされています。
妊娠週数と中絶方法
妊娠ごく初期(胎嚢確認前)
超音波検査で子宮内に胎嚢(たいのう)が確認できるまでは、手術は実施できません。
妊娠5週~9週0日
- 経口中絶薬(メフィーゴパック)
- 初期中絶手術(日帰り手術)
妊娠9週1日~11週6日
- 初期中絶手術(日帰り手術)
妊娠12週~21週6日
- 中期中絶(頸管拡張後、子宮収縮薬を用いた中絶、3~4日間の入院が必要)
※妊娠22週以降の中絶は認められていません。
術前検査
安全な処置のため、妊娠週数にかかわらず以下の血液検査を行います。
検査項目 | 費用 |
---|---|
|
¥15,000 |
経口中絶薬と初期人工妊娠中絶の違い
経口中絶薬 「メフィーゴパック」 |
初期人工妊娠中絶(吸引法) | |
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妊娠週数 | 妊娠9週0日まで | 初期人工妊娠中絶は妊娠11週6日まで |
利点 | 費用が安く手術による合併症のリスクが無い | 手術したその日に終わる |
副作用など | 吐き気、腹痛、多量の出血など 時間の拘束が長い |
術後の軽度の痛みや出血 |
費用 | ¥120,000(税別) ※追加処置費用 ¥60,000(税別) |
10週未満:¥130,000(税別) 10週~11週5日:¥180,000(税別) |
※その他、術前検査、サイズチェック、術後診察が別途必要です。処置や処方によっては追加で費用が発生する場合があります。
※お支払いは、現金以外にクレジットカード(VISA Master/JCB)も利用可能です。
経口中絶薬「メフィーゴパック」について
2023年4月より、日本でも経口中絶薬「メフィーゴパック」が承認・販売されました。母体保護法指定医師の管理下でのみ処方が可能で、現時点では入院設備のある病院・診療所に限られます。
処置の流れ
STEP01 初回診察
妊娠確認、週数の確認、血液検査、同意書の受け取り
(週数や状況により再来院して診察)
STEP02 1回目服用
午後の診察時間内にご来院いただき、診察室内で医師の面前で服用します。体調の変化がなければ帰宅可能です。
STEP03 2回目服用
2日後の8時30分にご来院いただき診察後に2回目を服用します。
その後病室にて待機していただきます。その間に体調の変化があれば随時診察します。
STEP04 2回目服用後
16時以降に超音波診察を行います。診察で問題なければご帰宅となります。
(胎嚢が排出されない場合は手術になることがあります)
ご持参いただくもの
- 夜用ナプキン6枚程度
- 下着
- スラックスなど着替(血液でよごれる可能性あるため)
- 飲料水、ゼリー状の飲み物など
中絶後の注意事項
術後に以下の症状がある場合は、早めに受診してください。
- 強い下腹部痛
- 発熱
- 多量の出血
1週間~10日後に外来診察を受け、回復状況を確認します。また、望まない妊娠を防ぐための避妊相談も可能です。